年金手帳を紛失したら?再発行や氏名変更の手続き方法を社労士が解説

公的年金
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就職・転職した時や結婚して改正した時に、必要になるのが年金手帳です。年金手帳の提出が必要な時に、見つからずに困った経験はないでしょうか。

今回の記事では、年金手帳の再発行方法や必要書類について解説します。年金手帳の必要性やマイナンバーとの統合予定についても紹介しますので、公的年金に関する基本知識として覚えておきましょう。

この記事のポイント

  • 年金手帳は国民年金に加入している証であり、基礎年金番号を確認するために各種年金手続きの時に必要
  • 令和4年4月1日から年金手帳は廃止(新規発行されない)されるが、既に持っている年金手帳は有効
  • 年金手帳の再発行手続きは、国民年金の種別(種類)によって市区町村窓口や勤務先、年金事務所で行う
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1.年金手帳とは?

年金手帳とは、基礎年金番号が記載されたはがきサイズの手帳です。

まず最初に、年金手帳をどうやって取得するのか、何のために必要なのか、など基本的なことについて確認しましょう。

1-1.年金手帳は20歳以上の全国民が持っている

日本の公的年金は強制加入で、20歳以上60歳未満の人は全員、国民年金に加入しなければなりません。会社員など厚生年金加入者も第2号被保険者として国民年金に加入しています。

そのため、20歳以上の全国民は国民年金加入の証である年金手帳を持っています。日本国民は20歳になると自動的に国民年金に加入し、日本年金機構から年金手帳が郵送されます。

年金手帳の前に、「資格取得通知」や「国民年金保険料納付書」などの手続き書類が郵送されますが、手続きをしなくても年金手帳は自動的に送付されます。

※20歳前に厚生年金に加入している人は、すでに年金手帳が発行されているため再送付されません。

1-2.基礎年金番号とは?

基礎年金番号は、全ての公的年金制度の共通の番号として平成9年1月より導入されました。年金手帳に記載されている10桁の番号が基礎年金番号です。(○○○○ー○○○○○○という形で表記されています。)

基礎年金番号が見当たらない場合は、国民年金保険料の口座振替額通知書や納付書などにも記載されています。また、勤務先や年金事務所で照会する方法もあります。

1-3.年金手帳が必要な場面は?

年金手帳が必要となるのは、主に次のケースです。

年金手帳が必要になる場合

  • 転職や退職などにより新たに厚生年金保険や国民年金に加入するとき
  • 結婚などで氏名を変更したとき
  • 年金の受給手続きをするとき
  • 年金についての相談を受けるとき など

新しい年金制度に加入するときや氏名を変更した時は、加入や氏名変更の手続きのために年金手帳が必要です。年金の受給手続きや相談時には、基礎年金番号や年金記録の確認のために年金手帳を使用します。

ポイント

ただ、重要なのは「基礎年金番号」ですので、手帳自体は無くても番号がわかれば手続きはできます。

ご自身の年金番号は必ず控えておくようにしましょう!

1-4.年金手帳には何が記載されている?

年金手帳に記載されているのは主に次の通りです。

年金手帳に記載されているもの

  • 基礎年金番号
  • 氏名・生年月日・性別・交付年月日
  • 住所変更や国民年金、厚生年金の記録欄 など

住所変更や国民年金、厚生年金の記録欄に変更記録などが記載されていないケースもありますが、気にする必要はありません。市役所などで手続きしたときに記載してくれることもありますが、備忘録の代わりに自分で記載するのが一般的です。

就職や転職の時に年金手帳を会社に提出しますが、会社は厚生年金加入手続きのために年金手帳で基礎年金番号を確認するだけで、加入記録を記載してくれるわけではありません。

自分の年金記録は、日本年金機構から送付される「ねんきん定期便」で確認しましょう。

(参考)年金番号からわかる情報は?

基礎年金番号は10桁の数字ですが、前半の4桁と後半の6桁が「-(ハイフン)」で区分されています。前半4桁のうち「最初の2桁」は年金手帳を発行した都道府県、「次の2桁」は発行した年金事務所、を表しています。

また、共済加入者は平成9年1月に基礎年金番号が付番されましたが、前半の4桁の数字は共済ごとに決められました。前半の4桁が「9300」なら国家公務員共済、「9450」なら私学共済など、基礎年金番号を見ればどの共済に加入していたかわかります。

2.年金手帳は廃止される?

令和2年6月公布の「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部改正」によって、年金手帳の廃止が決定しました。廃止時期や今後の取扱い等について説明します。

2-1.令和4年4月から年金手帳の新規発行は停止される

前述の法改正により、令和4年4月1日から年金手帳は廃止される予定です。

重要!

国民年金に新たに加入する人に対しては、年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」を交付することで基礎年金番号をお知らせすることになります。

年金手帳の廃止は、手帳発行コストの削減と年金手帳の役割低下が原因として挙げられます。

「行政手続きの簡素化」の一環として情報管理の一元化が進み、マイナンバーと基礎年金番号の情報連携も進展しました。

これまで年金手帳を必要とした手続きも、マイナンバーカードがあれば代用できるようになり、年金手帳の役割が低下したのです。

2-2.廃止後も年金手帳は保管しておこう

年金手帳が廃止されると、年金手帳は破棄してもいいのでしょうか。

すでに年金手帳を持っている人は、これまで通り各種手続きなどで年金手帳をそのまま利用できるので、破棄せずに保管しておきましょう。

年金手帳の再発行はできませんが、現在の年金手帳は有効です。

年金手帳を紛失した人は、最寄りの年金事務所で基礎年金番号通知書を発行してもらうといいでしょう。

2-3.基礎年金番号はマイナンバーと統合される可能性も

基礎年金番号がわからなくても、マイナンバーがわかれば各種年金手続きが可能です。将来的に基礎年金番号とマイナンバーカードが統合される可能性はありますが、情報漏えいなどの問題もあり、決まったわけではありません。

行政手続きの簡素化と国民の利便性向上を目的に、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようになり、運転免許証も代用することが検討されています。また、労働保険や社会保険など制度ごとに定められる加入者番号を一本化することも、将来の検討課題の1つです。

3.年金手帳の再発行方法と、各種手続き

最後に、年金手帳を紛失した場合の対応や年金関連で必要な手続きについて説明します。

3-1.年金手帳の再発行の方法

年金手帳の紛失に気付いた時、家の中を隈なく探すことも重要ですが、会社員の人は勤務先に預けていないかを確認してみましょう。

厚生年金や雇用保険の手続きは主に会社が行うため、年金手帳や雇用保険被保険者証を会社で保管しているケースも多いからです。

それでも見つからない場合は、再発行手続きしましょう。

なお、年金手帳を再発行しても基礎年金番号は変更されません。

年金手帳の再発行手続きは、国民年金の種別(種類)によって次の窓口で行います。

年金手帳の再発行窓口

  • 第1号被保険者(自営業者など):市区町村の窓口(年金課など)
  • 第2号被保険者(会社員など) :勤務先の担当課(人事部、総務部など)
  • 第3号被保険者(専業主婦など):配偶者の勤務先

手続きに必要な書類は、本人確認書類(免許証やマイナンバーカード など)だけです。代理人が手続きする場合には、委任状も必要です。

年金手帳の再発行は、市区町村や勤務先を経由して日本年金機構で再発行し郵送されるため、申請から手帳が手元に届くまで2週間から1ヶ月程度かかります。

再就職先から年金手帳の提出を求められ再発行を急ぐ場合は、年金事務所で事情を伝えれば申請日当日に再発行されるケースもあります。

手続きする時間帯や年金事務所によって取り扱いが異なるため、電話などで事前確認しましょう。

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3-2.その他、年金に関する必要な手続き

国民年金に関する主な手続きは次の通りです。異動のあった日から原則14日以内に市区町村などで手続きが必要です。

氏名変更や住所変更の手続き

結婚などで姓が変わった時や引っ越しをしたときは、原則市区町村で変更手続きが必要です。

ただし、市区町村内、または市区町村と日本年金機構の情報連携が進み、変更手続きをしなくても自動的に変更される地域が増えています。

厚生年金加入者は、勤務先に申し出て勤務先経由で手続きします。

厚生年金の加入手続きは入社から5日以内、氏名変更や住所変更の手続きは異動日から10日以内、と決められていますが、手続きを義務付けられているのは会社です。

会社員から自営業になるときの手続き

会社員が退職して自営業者になると、第2号被保険者から第1号被保険者に変わります。

重要!

退職後、すぐに転職先への入社が決まっていない場合は、14日以内に国民年金(第1号被保険者)の加入手続きをしましょう。

厚生年金の資格喪失手続きは会社がしてくれます。

会社員と結婚・離婚したときの手続き

第1号被保険者が会社員と結婚して専業主婦などの第3号被保険者となる場合、配偶者の勤務先に申し出て第3号被保険者への切り替えをしてもらいます。

配偶者が会社への申し出を怠ると、第1号被保険者のまま国民年金保険料を支払わなければなりません。

重要!

また、第3号被保険者が離婚すると、第1号被保険者に切り替える手続きが必要です。離婚後14日以内に、居住地の市区町村で第1号被保険者の加入手続きをしましょう。

将来、確実に年金を受け取るためにも、年金に関する手続きは忘れすに対応しましょう!

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