年金いくらもらえる?平均世帯の受給額をシミュレーションしてみた。

公的年金
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「老後の年金はいくらもらえるのか?」といった不安を感じている方は多いでしょう。

ご自身が年金を受け取る際にいくらもらえるのか、おおよその金額がわかれば老後資金の準備も計画的にすすめることができます。

そこで今回は、年金受給見込額の確認方法や、世帯別の年金受給額をシミュレーションしていきます。

この記事のポイント

  • 年金受給額を確認するなら「ねんきんネット」がおすすめ
  • 現在の平均受給年額は、国民年金が約67万円、厚生年金が約175万円
  • 年金額を増やすには、追納や任意加入制度、iDeCo、個人年金保険などを活用する
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1.年金受給額を確認する方法

将来の年金受取額を確認する方法には、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などがあります。

1-1.金融機関などのサイト

簡易的な見込額であれば、金融機関などの公式サイトで年金受給額のシミュレーションができるところがあります。

ねんきんネットと金融機関サイトの違いのポイントは、見込額の計算を「自分の年金加入記録」を基にするか、しないか、です。

金融機関のシミュレーションは、簡易的な計算になることが多いですが、目安がわかるうえ気軽に試せるので便利です。

例)三井住友銀行「年金試算シミュレーション

1-2.「ねんきんネット」

日本年金機構の「ねんきんネット」は、ご自身の加入履歴に基づいた見込み額の確認ができます。

また、さまざまな条件を設定することで、年金受取の見込額を試算できます。

「かんたん試算」では、現在の加入条件のまま60歳まで継続した場合の年金見込額が計算され、「詳細な条件で試算」は、職業や収入、受取開始年齢など細かく条件を指定して試算できます。

なお、ねんきんネットを利用するためにはユーザIDが必要で、ねんきん定期便に書かれているアクセスキーを利用すればすぐに取得できます。

ねんきんネットの登録方法については、こちらの記事をご覧ください。

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1-3.ねんきん定期便

毎年、誕生月になると「ねんきん定期便」が送付されますが、このねんきん定期便にも年金受取見込額が書かれています。

しかし、あくまでもこれまで納付してきた保険料のみを元に計算されているので、今後60歳や65歳まで納付予定の分が反映されていません。

重要!

ねんきん定期便の見込額は、受け取った年齢によって計算が異なります。

・50歳以上:現在の加⼊条件が60歳まで継続すると仮定して⾒込額を計算して記載しています
・50歳未満:これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています

50歳以上の人はねんきん定期便を見るのが一番簡単、確実です!

参考:日本年金機構 ねんきん定期便の様式と見方ガイド

実際に受け取れる年金額により近い金額を知りたい場合は、ねんきんネットで確認することをおすすめします。

正確な見込み額を把握したい場合は、年金事務所での年金相談をお勧めします。

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2.年金受給者はいくらもらっているの?

現在年金を受給している方が、どのくらいの年金を受給しているのか見ていきましょう。

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)の平均受給額が公表されています。

2-1.国民年金は年間約67万円、厚生年金は約175万円

令和元年度の老齢厚生年金と老齢基礎年金の平均受給額は以下の通りです。

年金の種別 月額 年間
老齢基礎年金 56,049円 672,588円
老齢厚生年金 146,162円 1,753,944円

自営業や個人事業主などの第1号被保険者は、国民年金のみの加入となっているため、受け取れる年金は老齢基礎年金のみで年額約67万円となっています。

一方、会社員や公務員などの第2号被保険者は厚生年金に加入しているため、受け取れる年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金で合計すると年額約175万円となっています。

重要!

ふたつを比較すると、厚生年金に加入している方の方が、国民年金のみの加入の方よりも約2.6倍多くの年金を受け取っていることがわかります。

参考:厚生労働省 令和元年度『厚生年金保険・国民年金事業の概況』

国民年金のみに加入されている方(自営業者、フリーランスなどの第一号被保険者)の年金の積み増しについてはこちらの記事をご覧ください。

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3.世帯別 年金受給額シミュレーション

ここからは、世帯別の年金受給額をシミュレーションしていきます。

今回は、「夫婦共働き世帯」、「夫が会社員で妻が専業主婦世帯」、「夫婦共に自営業世帯」の3つに分けて見ていきます。

なお、三井住友銀行「年金試算シミュレーション」を参考に計算しています。

3-1.夫婦共働き世帯

夫婦とも45歳で、夫の年収が600万円、妻の年収が400万円でシミュレーションした結果は以下の通りです。

※就業開始年齢:22歳・就業終了年齢:60歳・年金受取開始年齢:65歳の場合

老齢厚生年金 8.9万円/月 6.2万円/月
老齢基礎年金 6.4万円/月 6.4万円/月
合計 27.9万円/月

夫婦それぞれの老齢厚生年金と老齢基礎年金は上表の通りで、ふたりで合計毎月約28万円を受給できる計算となります。

3-2.夫が会社員で妻が専業主婦

では次に、夫が会社員で妻が専業主婦の世帯を見ていきます。

夫婦とも45歳で、夫の年収が650万円、妻の年収が0円でシミュレーションした結果は以下の通りです。

※就業開始年齢:22歳・就業終了年齢:60歳・年金受取開始年齢:65歳の場合

老齢厚生年金 9.7万円/月 0万円/月
老齢基礎年金 6.4万円/月 6.4万円/月
合計 22.5万円/月

40代の会社員と専業主婦(夫)の世帯では、毎月約23万円が受給できる結果となりました。

なお、妻が現在は専業主婦でも、以前会社員として働いていた場合は、その間の老齢厚生年金が受給できます。

3-3.夫婦共に自営業

では、夫婦共に自営業の場合をシミュレーションしていきます。

なお、自営業の場合は老齢基礎年金のみの受け取りとなり、老齢厚生年金のように現役時代の年収や勤務年数などに関わらず、国民年金の保険料納付月数で給付額が決まります。

老齢厚生年金 0万円/月 0万円/月
老齢基礎年金 6.4万円/月 6.4万円/月
合計 12.8万円/月

老齢基礎年金のみの受給になると、毎月約13万円しか受け取れず、老後の生活費をほかの方法で準備しておく必要があります。

4.老後の生活費はいくら必要か?

ここまで、世帯別の年金受給額のシミュレーションをしてきましたが、年金だけで老後の生活費をカバーすることはできるのでしょうか。

それにはまず、老後の生活費がいくらかかるのかを知る必要がありますね。

総務省の「家計調査」では、高齢者世帯の生活費に関する調査結果が公表されていますので、確認していきましょう。

参考:総務省 家計調査(2020年)

4-1.65歳以上夫婦の生活費は月25.6万円

65歳以上の高齢夫婦世帯の毎月の生活費は、平均255,550円です。費用には、食費や住居費、水道光熱費、交通・通信費、税金や社会保険料を含んで計算しています。

では、現役時代にできるだけ老後資金を貯めておくにはどうしたら良いのか、次章でご紹介していきます。

5.年金受給額を増やす方法

年金受給額を増やすための、主な4つの方法をご紹介します。

5-1.未納分の追納

国民年金保険料の免除や猶予などを受けた期間がある人は追納制度を利用して、10年までさかのぼって保険料を納付することができます。(追納と言います。)

追納することで、未納期間を解消することで受取額を増やすことができます。

ココに注意

ただし、追納(10年までさかのぼって保険料を納付できる)の対象は「免除・猶予を受けた人」です。

国民年金の保険料は納付期限から2年以内に納めなければ未納となってしまいます。未納になったら保険料は納められません。

納付が難しい場合は、免除制度を活用しましょう。

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5-2.「任意加入制度」の活用

国民年金の「任意加入制度」を利用し、60歳以上65歳未満の5年間に国民年金保険料を納めることで、老齢基礎年金を増額させることができます。

ただし、厚生年金に加入している場合は任意加入できないのでご注意ください。

5-3.個人年金保険や生命保険

生命保険会社が取り扱っている個人年金保険に加入するのもひとつの方法です。

また、保障と貯蓄を兼ね備えたいのであれば、「終身生命保険」に加入するのもおすすめです。

5-4. iDeCoの活用

iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する方法もあります。

拠出金は全額所得控除の対象となり、運用益は非課税、受取時にも税制優遇があるなどのメリットがあるため、運用知識がない人も利用できるおすすめの制度です。

6.まとめ

年金受給見込額を確認する方法はいくつかありますが、様々な条件を設定して試算したい場合は「ねんきんネット」での照会がおすすめです。

また、老後の生活費が年金だけでカバーできるかは世帯での年金受給額がいくらかによって決まりますので、ご自身だけでなくパートナーと合わせた年金額を知ることが大切です。

年金が不足する場合は、今回ご紹介した方法で年金額を増やしておくとより安心ですね。

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