この記事では、仕事や家庭環境など、ライフステージに大きな変化が生じる30代が加入すべき保険や想定されるリスク、おすすめの保険について解説します。
自分に合った保険選びの参考にしてください。
1.30代の保険加入状況
自分や家族を守るためにも、保険の必要性が高まる30代ですが、どのくらいの人が保険に加入しているのでしょうか。
データで見る、30代の保険加入状況について解説します。
1-1.30代の生命保険の世帯加入率は約90%
公益財団法人生命保険文化センターの「2021年度生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年度における30代の平均加入率は90.0%です。
29歳以下の加入率は70.2%となっており、約20%の人が30歳以降で必要性を感じて加入した、ということになります。
3年ごとの年度推移でみても、ほぼ横ばいで推移しています。
1-2.30代の死亡保険金額は約2,500万円
同じく「生命保険に関する全国実態調査」によると、30代世帯の死亡保険金額の平均は2,520万円となっています。
これも29歳以下と比べると、約500万円の上乗せとなっており、30代に入って死亡保障への意識が高まっているといえます。
1-3.30代の年間払込保険料は約32万円
他の世帯が保険料として毎年いくら支払っているのか、気になるところです。
30代世帯の年間払込保険料は、平均で32.2万円となっています。
29歳以下と比べると、年間で10万円以上も増えています。
1-4.医療保障の備えにも意識が高まる
生命保険文化センターの「2019年度生活保障に関する調査」によると、30代の医療保険加入率は男性で74.3%、女性で78.1%となっています。
20代と比較しても、加入率は顕著に伸びており、万が一の病気やケガに対する備えに意識が高まっていることを表しています。
2.30代が加入すべきおすすめの保険
30代になれば、自分や家族を守るため保険の必要性が高まります。
では、実際にどのような保険が必要になるのでしょうか。
30代が検討すべき保険の選び方や、おすすめの保険を解説します。
2-1.30代の保険の選び方
30代の人が保険を選択する際に、おさえておくべきポイントは以下の3つです。
ポイント1.社会保障制度を理解し、不足分を補う
自身に万が一の事態が生じた場合、全額を民間の保険でまかなう必要はありません。
公的保障である社会保障制度の内容を理解したうえで、不足分だけを補うようにしましょう。
社会保障制度で受けられる内容は、以下のようなものがあります。
ポイント
- 医療費が高額になっても、高額療養費制度によって上限額が決まっている
- 会社員の場合、病気やケガで働けない期間には傷病手当金が受給できる
- 死亡した場合には遺族年金が、障害状態になった場合は障害年金が受給できる
各制度の詳細は下記の記事をご覧ください。
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ポイント2.死亡保障はライフプランを考慮し、必要保障額を備える
自分の必要保障額は一定ではありません。
子どもがいる場合、子どもが小さいうちは必要保障額が高く、成長するにつれて低くなっていきます。
必要保障額の変化に合わせて保険を組むことで、毎月負担すべき保険料を安く抑えることが可能です。
また、共働き世帯であれば、配偶者の収入も考慮した必要保障額を設定することが大切です。
ポイント3.病気のリスク向上を踏まえ、医療保障を重視
30代になると、病気のリスクが高まります。
特に女性でいえば、妊娠や出産にて、異常分娩にともなう突然の入院の可能性も視野にいれる必要があります。
また、厚生労働省の「患者調査(2017年度)」によると、30代以上の入院理由の第1位は「精神及び行動の障害」となっています。
若年層と比べると大幅に増加している ため、メンタル疾患に対する備えに注意するなどの対策も重要です。
2-2.30代が検討すべきおすすめの保険
上記を踏まえたうえで、30代の人が検討すべきおすすめの保険は以下の3つです。
おすすめ1.収入保障保険
万が一の死亡や、高度障害状態への備えとしておすすめなのが、収入保障保険です。
収入保障保険は、保険金額を毎月一定額の年金形式で受け取ることができる保険です。
保険期間の経過とともに、保険金額が逓減していく保険であり、ライフステージに合わせた必要保障額を効率よく準備することができます。
一般的な定期型の死亡保険よりも、毎月の保険料を安く抑えることが可能です。
生活費に加え、子どもの教育費や住宅のかかる支出負担が大きい30代にとって、大きな死亡保障を安い保険料で備えることが可能な点は、メリットといえるでしょう。
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おすすめ2.医療保険
病気やケガに備える保障として、医療保険の備えも有効です。
万が一の病気やケガで療養が必要になった場合に、入院費や手術・通院にかかる費用をカバーすることができます。
治療費の負担は当然ながら、病気やケガに見舞われた際に気になるのが、働けない期間の収入の減少です。
会社員には傷病手当金がありますが、自営業者に収入を補ってくれる公的保障ありません。
病気の不安はもちろん、活動的な30代にとってはケガも心配です。
治療費の負担とともに、働けない期間の収入を補填する意味でも、医療保険の加入はおすすめです。
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おすすめ3.がん保険、特定疾病保険
同じ病気に対する備えでも、医療保険に上乗せしてカバーしたいのが、がん保険や特定疾病保険です。
重度の病気として知られるがんや心疾患・脳血管疾患に対し、療養費用の負担を補うことができます。
がんは2人に1人がなるといわれる、日本人には馴染みの深い病気です。
また心疾患や脳血管疾患は、生活習慣病として誰もが罹患するリスクをもっています。
もしこれらの病気になった場合、治療費の負担増とともに、これまでと同じような働き方を続けることが困難になり、収入の減少が想定されます。
特に女性では、30代から40代にかけて、乳がんの罹患率が大幅に上昇します。
こうしたリスクに対し、がん保険や特定疾病保険は有効な対策といえるでしょう。
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2-3.将来の老後資金に備える
30代にとって、万が一のリスクと合わせて備えておきたいのが、将来の老後生活に向けた備えです。
公的保障(年金)だけに頼らない、自助努力の必要性が提唱されている中で、少しでも早い時期から老後資金準備を進めることが大切です。
老後資金の準備には、以下のような手段があります。
- 個人年金保険
- iDeco
- つみたてNISA
こうした老後に向けた積み立てを、少しでも多く準備していくためにも、万が一のリスクに対する備えは1円でも安く備えることを意識しましょう。
受け取れる保険金額が同額の、同じ内容の保険であれば、少しでも保険料が安い保険を選定すべきです。
保険の見直しを検討する際は、複数の保険会社の中から選択しましょう。保障内容はもちろん、毎月支払う保険料についても、自分が納得のいく保険から選択することが重要です。
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3.自分に合った保険で、想定されるリスクに備えよう
30代は仕事や家庭において、その責任が重くなっていく変化の時期です。
自身の存在価値が高まり、必要な保障額も大きくなっていきます。保険の重要度が高くなるのが30代です。
家族が増えれば死亡保障の金額は上がります。また病気やケガのリスクに備えて医療保障への備えも必要になります。将来に向けた老後資金の準備も大切です。
今まで加入していた保険の見直しを検討すべきタイミングにおいて、保険を選択する際は、ライフステージに応じた必要保障額を、複数の保険会社から比較選択すべきです。
自分に合った保険を選び、想定されるリスクに備えましょう。