収入保障保険は、毎月一定額の保険金を年金形式で受け取ることができる保険です。
自分に万が一の事態があったときに、残された大切な家族の生活を守るための、合理的な保険として注目を集めています。
この記事では、収入保障保険の特徴やメリット・デメリット、収入保障保険を検討すべき人とはどんな人なのかを解説します。自分に合った保険を選ぶうえでの参考にしてください。
1.収入保障保険の特徴
収入保障保険とは、いったいどのような保険なのでしょうか?
他の死亡保険と比較してどう違うのか、その特徴について解説します。
1-1.保険金を年金形式で受け取れる保険
収入保障保険は、被保険者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、毎月一定額の保険金を年金形式で受け取れる保険です。
30年間や65歳までといった、保障される期間をあらかじめ定める定期型の保険の1つです。
1-2.保険期間の経過とともに保険金額が下がる逓減型の保険
また、収入保障保険は保険期間の経過とともに保険金額が減少していく、逓減型の保険となっています。
早い段階で死亡した場合は保険金総額が大きくなり、保険期間が終了する間近に死亡した場合は保険金総額は少なくなります。
1-3.保険金の受け取り方法は選択可能
収入保障保険は年金形式だけでなく、保険金をまとめて一括で受け取ることも可能です。
また、一部を一括で受け取って、残りを年金で受け取るような方法も選択できます。
しかし、一括受け取りを選択した場合の保険金総額は、年金形式で受け取る場合の保険金総額よりも少なくなるのが一般的です。
1-4.年金には受け取りの最低保証期間がある
収入保障保険には、受け取る年金の最低保証期間を設定することができます。
保険期間が満期を迎える直前に亡くなった場合、満期までの期間が最低保証期間に満たないときは、最低保証期間の年金が支払われます。
保険会社によって最低保証期間は異なり、2年間や5年間などで設定します。
例えば、65歳満期・最低保証2年間で加入していた人が、64歳で亡くなった場合、64歳から2年間は死亡保険金が受取人である遺族に支払われます。
就業不能保険との違いは?
収入保障保険と混合しやすいのが「就業不能保険」です。
よく似た名前の2つの保険ですが、その内容は大きく異なります。
収入保障保険=死亡または高度障害状態になった場合に、遺族に保険金を遺すための保険です。
就業不能保険=病気やケガで働けない状態になった場合に、自身の収入の減少をカバーするための保険です。
収入保障保険は死亡や高度障害になった場合に家族の生活をカバーするもの。
就業不能保険は病気やケガによる自身の収入ダウンをカバーするもの。
2つの保険は、その目的によって大きく異なります。
2.収入保障保険のメリット・デメリット
自身の万が一の事態に備えて死亡保険を検討する場合、収入保障保険は1つの選択肢になることでしょう。
収入保障保険にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
2-1.収入保障保険の3つのメリット
収入保障保険のメリットは、以下の3つです。
メリット1.死亡保険を合理的に備えられる
収入保障保険は、必要なときに必要なだけの保険金額を、合理的に備えることが可能です。
例えば、子どもが小さい間は生活費や教育費などの大きな支出が必要ですが、子どもの成長に伴って必要な保障は減少していきます。ライフステージの変化に合わせて、適正な金額の死亡保障を準備することができます。
メリット2.保険料を安く抑えられる
収入保障保険は、他の保険種類と比べて安い保険料で大きな保障を確保することが可能です。
保険期間の経過とともに保険金の総額が減少するため、必要性がなくなった期間に過剰な保障を備える必要がなくなり、保険料も安く抑えることができます。
メリット3.保険金の無駄遣いを防ぐことができる
収入保障保険は、年金形式で受け取ることで保険金の無駄遣いを防ぐことができます。
一般的な死亡保険のように一度に受け取ってしまうと、別の用途に散財してしまう可能性が生じます。年金形式で受け取ることで無駄遣いを防ぎ、本来の目的のために活用することができます。
2-2.収入保障保険の3つのデメリット
収入保障保険のデメリットについては、以下の3つです。
デメリット1.解約返戻金がない
収入保障保険は、他の定期保険と同じく、解約返戻金のない掛け捨て型の保険です。保険期間が終了するまでに何もなければ、支払った保険料は戻りません。
デメリット2.保険期間の終了間近は保険金が少ない
収入保障保険は、保険期間の経過にともなって受け取れる保険金額が減少します。
よって、保険期間の終了間近では保険金が少なくなってしまいます。
葬儀代や相続対策など、ある程度まとまった死亡保険金を残したい場合には不向きといわざるを得ません。
デメリット3.税金が複雑になる
収入保障保険で死亡保険金を受け取る場合、年金形式で受け取ると以下のような税金がかかります。
- 死亡時(初年度)には、年金受給権評価額が相続税の課税対象
- 年金受取時(2年目以降)には、雑所得として所得税の課税対象
一括でまとめて受け取る場合よりも、税金の計算が複雑になるのはデメリットといえます。
3.収入保障保険が向いているのはどんな人?
収入保障保険は、一定期間における死亡や高度障害に対する保障を、合理的に備えることができる保険です。
メリットもあればデメリットもあるため、自分に合った保険なのかどうかは、十分に検討する必要があります。
以下、収入保障保険が向いている人をご紹介します。
3-1.小さい子どものいる子育て世代の人
子育て中の家庭で、子どもの年齢が小さい世代の人は、収入保障保険の重要度が高いといえます。
生活費に加え、教育費や住宅費に関する支出は決して軽くありません。
月々の支出は少しでも抑えたいところ、収入保障保険を活用すれば、安い保険料で大きな保障を合理的に確保することが可能です。
3-2.家事や育児を担っている主婦(主夫)の人
家庭において家事や育児を担っている主婦(主夫)の人にも、収入保障保険は有効です。
収入のない主婦(主夫)の人は、万が一の保障は不要と考えている人は少なくありません。
しかし、家事や育児はお金には変えられません。もし、家事や育児を担う人に万が一のことがあった場合は、外食や託児所など、外部にかかる支出が増加することになります。
そうした場面に備えるためにも、安い保険料で充実した死亡保障が備えられる収入保障保険が役立ちます。
3-3.個人事業主やフリーランスの人
個人事業主やフリーランスの人は、会社員や公務員と比較し、亡くなった場合の遺族年金が少ないです。そのため、民間の保険の必要性は高いといえます。
残された家族が不自由なく生活を送るためにも、大きな保障を安く備えられる収入保障保険は、公的年金を補う手段としても有効です。
4.収入保障保険と合わせて検討すべき保険とは?
保険は万が一の事態に備えるうえで大切なものですが、月々の保険料負担は少しでも安く抑えたいものです。
よって加入する保険は自分が必要性を感じる最低限の範囲とし、不必要な保険には入らないことも大切です。
万が一の死亡保険を合理的に安く備えられる収入保障保険とともに、合わせて検討しておきたい保険種類を、以下ご紹介します。
4-1.終身保険
葬儀代や相続対策資金など、長期的な死亡保障を確保したいなら、終身保険を活用しましょう。
死亡の時期は誰にもわかりません。終身保険は、収入保障保険などの定期保険と比較して割高ですが、一生涯の保障が準備可能です。いつ亡くなっても、一定額の死亡保険金が受け取れます。
一定期間の手厚い保障は収入保障保険で、一方で長期的な保障は終身保険で準備するなど、上手く組み合わせて自分に合った保障を備えることが重要です。
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4-2.医療保険
日常生活において病気やケガに見舞われた際に、その療養費用をカバーするための保険が医療保険です。
医療保険によって、病気やケガによる入院や手術、通院費用を補填することができます。
病気やケガの療養費は、公的保障である健康保険給付や高額療養費制度によって、手厚い保障を受けることができます。しかし、療養期間中やその後の収入減少まではカバーできません。病気やケガにおける、予期せぬ支出や収入減少をカバーするうえで、医療保険は有効な手段です。
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4-3.がん保険
数多くの病気の中でも罹患率が高く、療養期間が長期化しその後の生活にも影響を及ぼしやすいのが、がんという病気です。
療養費の負担や、長期療養に伴う収入減少をカバーするうえでも、がん保険の備えは必要です。
最近ではがんと診断された段階で、まとまった一時金が受け取れるタイプの保険が主流となりつつあります。用途の制限はなく、保険金は療養費はもちろん、日常の生活費として使うこともできます。
4-4.個人年金保険
将来の老後生活のリスクに備え、公的年金を補う手段として検討したいのが個人年金保険です。
毎月一定額の保険料から積み立てたお金は、あらかじめ定めた年齢になった時点から年金形式で受け取ることができます。
将来の老後生活に向けた資産運用の手段は様々ですが、個人年金保険は保険料控除によって、貯蓄をしながら節税の恩恵を受けることができます。毎月の保険料が強制力を持つため、貯蓄が苦手でなかなか進まない人にもおすすめです。
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5.収入保障保険を活用し、自分に合った保険を備えよう!
収入保障保険は、毎月一定額の保険金が年金形式で支払われる、定期型の死亡保険の1つです。
安い保険料で手厚い保障を備えることができる点が大きなメリットといえます。
保険選びにおいて特に重視すべきポイントは、「今の自分に合った保障内容となっているか?」です。収入保障保険は合理的な保険ではあるものの、ライフステージによって向き・不向きがあり、すべての人に必要な保険とはいいきれません。
収入保障保険を万が一の事態に備えるための1つの手段として、他の保険とも上手く組み合わせながら、自分に合った保険を備えるようにしましょう。