クレームの多い生命保険会社はどこ?苦情件数ワーストランキング

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生命保険は将来の不安を解消するための大切な買い物です。

だからこそ、加入はしたものの、「保障内容が説明を受けた内容と異なる」、「保険会社や担当者の対応に不満がある」など、あとから苦情が発生してしまうケースも少なくありません。

この記事では、生命保険に対する苦情の実態、苦情件数の多い保険会社ランキング、事例から学ぶトラブルを未然に防ぐ方法などについて解説します。

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1.生命保険に関する苦情とは?

生命保険に関する苦情とは、いったいどのような内容なのでしょうか?生命保険における苦情の定義と、主だった苦情の原因について解説します。

1-1.苦情とは「お客様の不満足の意思表明」

金融庁の金融トラブル連絡調整協議会「苦情の定義について(2009年6月)」によると、生命保険協会に寄せられる苦情の定義を以下のように定めています。

申出時において生命保険契約等その提供する商品、サービスの内容、もしくはその営業活動 等に関して、会社に対する不満足の表明があるもの。

商品やサービス、保険会社などに対して、お客様が不満足を感じればそれが苦情です。

しかし、不満足を自分から発信する人は決して多くなく、心の中に止めておくという人が大半です。わざわざ報告するという行為には、お客様の心情(不満の強さ)がうかがえます。

1-2.苦情の主な原因は5つ

生命保険に対する苦情は、以下のように区分されます。

苦情の内訳 具体例
新契約に関する苦情 新たに加入した保険の内容が、説明と違っていた
保険金に関する苦情 入院したのに、給付金が満額支払われなかった
保全に関する苦情 解約をしたいのに、取り合ってくれなかった
収納に関する苦情 更新によって突然保険料が高くなった
営業活動に関する苦情 営業職員がしつこく電話連絡してくる

生命保険は様々な商品があり、また様々な形態の販売チャネルがあります。苦情に発展してしまう原因は、保険会社によってその内訳が異なっています。

保険会社の営業員が主導の保険であれば、その信頼がゆえに契約時に説明不足が生じてしまうケースが考えられます。

またネット系の保険会社であれば、十分に理解しないまま加入してしまい、万が一のときに保険金や給付金が出ないというケースに発展しやすくなります。

1-3.支払い漏れとは?

生命保険に関する苦情で多いのが、「支払い漏れ」に関する内容です。

さらに詳しく

「支払い漏れ」とは、保険金や給付金の請求時に提出された診断書の内容から、支払い対象であったにも関わらず、保険金や給付金が支払われなかった事案です。

また、請求を受けた保険金や給付金以外にも支払える内容があったにも関わらず、請求の案内がなされなかった「請求案内漏れ」もあります。

生命保険協会によると、2020年における支払い漏れの発生件数は以下のとおりです。

支払い漏れ 請求案内漏れ 合計
件数 1,039件 2,075件 3,144件
金額 2億100万円 1億6,400万円 3億6,500万円

これは、あくまでも保険会社の調査(内部発見)、またはお客様からの申し出(外部発見)によって、保険金や給付金を追加で支払ったことで発覚した数値です。

保険契約自体を忘れていた、被保険者の死亡により請求していなかったなど、全てが保険会社に責任があるものではありませんが、支払い漏れの事案がいかに多いかが分かります。

1-4.外貨建て保険に関する苦情が増えている

生命保険に関する苦情で特に増加傾向にあるのが、外貨建て保険に関する内容です。

外貨建て保険とは、将来に向けた資産形成を外貨で行なう保険です。外貨には為替変動のリスクがあるため、特に高齢者など、お客様の理解度に合わせて十分な説明を提供する必要があります。

生命保険協会によると、外貨建て保険の苦情件数は以下のように推移しています。

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
苦情件数 992件 1,239件 1,665件 1,888件 2,543件 2,822件 1,866件
苦情発生率 0.12% 0.10% 0.10% 0.09% 0.08% 0.08% 0.05%

外貨建て保険の人気の高まりから契約件数は増加しているため、苦情の発生率こそ減少しているものの、件数は年々増加傾向でした。

2019年に金融庁による規制が強化され、2020年では苦情件数は減少しています。

2.苦情の多い保険会社ワースト5

「一般社団法人生命保険協会」の苦情受付情報より、2020年度において苦情の多かった保険会社ワースト5のご紹介です。

苦情には「生命保険会社へ直接寄せられた苦情」と「生命保険協会へ寄せられた苦情」の2パターンがありますので、それぞれご紹介します。

2-1.生命保険会社に寄せられた苦情

生命保険会社のコールセンターやインターネットを通じて、お客様から直接寄せられた苦情の件数においては、以下のような結果となっています。

苦情件数ワーストランキング

保険会社 苦情件数
かんぽ生命 126,019件
アフラック生命 61,198件
住友生命 55,701件
日本生命 51,645件
メットライフ生命 49,862件

1位のかんぽ生命は、過去に発生した不適切契約の問題により、お客様に対して過去の契約に関する意見を積極的に収集している状況もあり、苦情件数は多くなっています。

2位以下の会社の顔ぶれを見ても、やはり大手保険会社が並んでいます。保有契約が多ければ、それだけお客様からの苦情も多くなるのが実情です。

苦情発生率(苦情件数/個人保険契約件数)ワーストランキング

保険会社 苦情発生率
カーディフ生命 1.51%
ライフネット生命 1.14%
フコクしんらい生命 1.13%
はなさく生命 1.11%
ソニー・ライフウィズ生命 0.99%

1位のカーディフ生命は、住宅ローンの団体信用生命保険を提供している会社です。

生命保険としての機能に加え、一生に一度の買い物である住宅に関わるものであるため、お客様の反応もシビアになると考えられます。

2位のライフネット生命は、TVCMでもお馴染みのインターネット完結型の保険です。

お客様自身で手続きを行なうという点では、詳細の内容を理解しないまま契約するという点が、苦情に発展するリスクを秘めています。

2-2.生命保険協会に寄せられた苦情

生命保険会社ではなく、第3者機関である生命保険協会に寄せられた苦情の件数においては、以下のような結果となります。こちらは苦情件数のみご紹介します。

苦情件数ワーストランキング

保険会社 苦情件数
日本生命 444件
かんぽ生命 442件
明治安田生命 270件
第一生命 257件
アフラック生命 256件

上位の顔ぶれは、やはり大手保険会社が並びます。

大手保険会社の特徴として、会社に訪問する営業員による職域加入があげられます。

定期的に会社に訪問している営業担当者は変更頻度が高く、誰に相談すれば良いかわからず、生命保険協会に問い合わせるというケースが考えられます。

3.事例から学ぶ、苦情トラブルを未然に防ぐ方法

お客様からの不満足の表明である苦情は、保険会社にとっても、お客様にとっても、無いに越したことはありません。

では、苦情トラブルを未然に防ぐためには、どのような方法が効果的なのでしょうか。

3-1.保険会社ごとの苦情の内訳

苦情の多かった保険会社(かんぽ生命、アフラック生命、日本生命)の、苦情内容の内訳は以下のとおりです。

かんぽ生命 アフラック生命 日本生命
新契約関係 80.8% 25.7% 9.9%
保険金関係 6.5% 23.4% 13.2%
保全関係 7.5% 26.2% 38.5%
収納関係 2.5% 9.9% 7.5%
その他(営業活動など) 2.7% 14.9% 31.0%

ひとことに苦情といっても、その内訳は保険会社によって様々です。

その中でも特に多かった以下の3つのケースについて、実際の事例と対策について解説します。

  • 新契約関係
  • 保険金関係
  • 保全関係

ケース1,【新契約関係】加入した保険が、説明を受けた内容と違っていた

「この保険は貯蓄機能があるので、支払った保険料は貯まり、解約すれば戻ってきます」と説明を受けて、毎月1万円の保険料を支払っていた。10年経過して、1万円×12か月×10年で120万円は貯まっていると思っていたのに、実際は1/10しか無かった。

問題点

毎月支払う保険料の内訳には、被保険者が死亡した場合に支払われるための「責任準備金」も含まれています。支払った保険料がそのまま貯蓄される訳ではありません。

そうした内容を説明せず、ただ「保険料が戻る」という点だけに注視した説明は、お客様の誤解を生じさせてしまいます。

対策

こういった解約返戻金のある保険の場合は、「〇年後には〇円」といったシュミレーションを、設計書などを用いて十分に説明を受ける必要があります。

説明した書類については、保険証券と合わせて保管しておくことをおすすめします。

また、外貨建て保険や変額保険など、変動する要素のある保険については、そのリスクについても十分な説明を受け、納得したうえで検討しましょう。

ケース2,【保険金関係】手術を受けたのに、給付金が支払われなかった

外来で日帰りの手術を受けた。医療保険に加入しており、手術をすれば給付金が出ると思っていたのに、手術は給付の対象外といわれた。

問題点

給付内容に関する説明不足、または認識不足によるものです。

医療保険は各保険会社によって、その給付内容は異なります。そもそも手術を給付に含めない保険や、給付の対象となる手術が細かく定められている保険もありますので、十分に把握しておく必要があります。

対策

医療保険は請求するケースが多いため、その給付要件は十分に納得いくまで説明を受けるようにしましょう。最近は保険料を安くするため、手術の給付や通院の給付などが自在に取り外しできる保険も人気です。

保険料が安くなるのは良いですが、必要なときに保障が受けられないと意味がありません。加入時にはしっかりと相談し、納得のいくまで検討しましょう。

ケース3,【保全関係】更新で保険料が上がるなんて知らなかった

若い頃から保険に加入していたが、自宅に届いた保険会社からの封書に「更新後の保険料は〇〇円です」と記載されていた。安いと思って加入したのに、更新で保険料が上がるなんて知らなかった。

問題点

給付内容に関する説明不足、または

保険の仕組みに対する説明不足、または認識不足が原因です。

保険には期間の定めのある「定期型」と、期間の定めのない「終身型」の2種類があります。

定期型は保険料が安いメリットと同時に、期間が限定されるため、保険を継続するには更新が必要です。保険に新規で加入して、更新の到来は10年後など先になるため、トラブルになるケースが多いです。

対策

保険加入時には、保険の仕組みについて十分な説明を受けることが大切です。特に定期型の保険に加入する場合は、保険の終期が到来した後のことも考えたうえで検討しましょう。

そもそも加入時には提案されるがままにせず、将来に向け自分が必要とする保障が準備できるよう、期間や金額については十分に検討して決めることが大切です。

4.生命保険に関する相談先

生命保険は、将来の不安を解消するための大切な備えです。その内容についてはしっかりと把握し、不安や不満がある場合は相談し、常に安心できる状態にしておく必要があります。

生命保険に関して苦情や相談がある場合は、以下の窓口を活用しましょう。

1,加入手続きを行なった保険代理店や担当者

自身の保険に気になる点がある場合は、まずは加入手続きを行なった保険代理店や担当者に相談しましょう。保険に加入するきっかけや商品選定の経緯は、手続きを行なった保険代理店や担当者が一番よく分かっています。

ライフスタイルの変更など、契約後も意向が変化することも考えられます。見直しも含め、加入中の保険に関する相談は、まずは担当者に問い合わせることをおすすめします。

2,保険会社の担当部署

関係性の理由から担当者に聞きにくい場合は、加入している保険会社の担当部署に相談してみるのも良いでしょう。正しく説明を受けていたか、確認漏れがないかなど、加入している保険のことは、その保険会社に聞くのが一番の近道です。

3,保険ショップの相談窓口

第三者の客観的な意見を聞きたいのであれば、関係性の薄い保険ショップの相談窓口に相談するもの良いでしょう。保険ショップでは、加入中の保険が自分の意向に合っているかを無料で相談することができます。加えて複数社の保険の中から自分の意向に合う保険の提案も受けられるため、見直しにはおすすめです。

4,生命保険協会の生命保険相談所

一般社団法人生命保険協会が運営する生命保険相談所では、自分が加入している保険に関して、保険会社や担当者に知られることなく相談することができます。

生命保険協会の会員は、日本国内で営業活動を行なっている各保険会社です。お客様の疑問や悩みを収集することで、会員各社のさらなる品質向上に役立てています。

また、お客様へのアドバイスだけで問題が解決しない場合は、相手方の保険会社に対して助言や指導を行なうことで、円満な解決につなげてくれます。

5.不安を解消し、納得できる保険を備えよう

保険は将来の不安を解消するための、先の長い買い物です。後悔のない保障を準備するために、少しでも不安や不満があれば、遠慮することなく申し出を行ないましょう。自分が納得できる保険を備えることが大切です。

苦情の件数が多い会社が、不誠実な会社とは限りません。

各保険会社の商品やサービスには、それぞれの特徴があります。苦情の発生は、主に認識不足や確認不足によるものです。

それぞれの保険会社の商品やサービスを特徴を理解しないまま加入してしまうと、後に不満が生じてしまいます。保険加入時には保険会社や担当者任せにせず、自身でしっかりと情報を収集し、十分に理解したうえで加入するようにしましょう。

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