昆虫は外敵に対する防衛手段を持っています。
例えば、ナナフシやクツワムシとった昆虫は葉っぱや植物に擬態をして外敵の攻撃の目をそらすようにしたり、アリは集団でスズメバチに襲い掛かって倒してしまいます。
インターネットでも当然防衛手段であるセキュリティが必要な事は自明ですが、今回はそんなサイバーセキュリティ分野の21世紀型とも呼べるクラウド型サイバーセキュリティ大手・クラウドストライクについて解説します。
CrowdStrike社 公式HP:https://www.crowdstrike.jp/
1.セキュリティ市場は常に進化が要求される市場
セキュリティの歴史
20世紀のインターネット環境は、思い返せばインターネットと言えば有線で接続されている環境でした。
そんな中、セキュリティ対策と言えばCD ソフトを自分で買ってきてダウンロードして毎年更新版が出るたびに新たにヨドバシカメラやビックカメラに購入しにいってダウンロードイして・・・アナログな世界でした。
しかも、更新は年に1度の更新頻度で、自分で更新をしないといけませんでした。
現在のインターネット環境は wi-fi 環境が普通になり、フリーWi-Fiが地下鉄でも喫茶店でも気軽に使用出来るようになりました。
しかし、十分にセキュリティがされていないというのが現状で、ネットセキュリティの重要性がさらに増大しております。
実際、マルウェア(インターネットで悪影響を及ぼすソフトやコードを指す)等サイバー攻撃は一向に減らない傾向にあり、セキュリティ会社とハッカーとの戦いはイタチごっこの状態が長く続いています。
従来の20世紀型のセキュリティソフトは攻撃を受けてから対策を練るというPDCAサイクルを一年単位で行っており販売していたのですが、それでは遅すぎるという事です。
セキュリティ市場の現在と今後
さて、そんなセキュリティ市場の市場規模ですがサイバーセキュリティ分野は多岐にわたるのでマーケットサイズを図るのは難しいです。
しかし、クラウドストライクのIR情報によると自社が狙えるマーケット規模を2022年時点で54.8billion と推定。
この市場が2年11%成長で2024年には67.1billionと見ている事がわかります。
市場自体の成長率は11%程の成長率ですので、探せば他の分野の方が成長率は高いです。
しかし、セキュリティとサイバー攻撃の技術進歩は早く、20世紀の大手企業が21世紀でも大手とは限りません。
技術的優位性があればシェア拡大ができるという事は頭に入れておく必要があるでしょう。
また、従来のサイバーセキュリティ(つまり末端のセキュリティ)だけでなく
クラウド上のセキュリティについての市場は2020年のクラウド市場自体は$106.4ビリオンに対しクラウドセキュリティ市場は$1.2ビリオン。
2023年予測は、クラウド市場自体が$217.7ビリオンに対しクラウドセキュリティ市場は$2.0ビリオン。とクラウドサービスの伸びに比べクラウドセキュリティ分野は大きく劣後しております。
近年のサービスは急速にクラウド上へ移行されて来ましたが、セキュリティ対策が追いついていないのが現状です。
クラウドストライクCEOのジョージカーツも
「まだクラウドに対するセキュリティ対策は0.8%しかされていない」 というコメントをしておりクラウドセキュリティ市場は今後拡大される余地がある市場です。
2.クラウドストライクとはどの様な会社なのか
クラウドストライクの会社概要
クラウドストライクは、従来のセキュリティソフトとは異なる”クラウドとサブスク型のネットセキュリティソフト”の会社です。
詳しくは、コンテンツの項目で説明致しますが、”1分以内にウイルスを検知して10分以内で調査して60分で対処する”のがクラウドストライクです。ものすごいスピードで解決をするセキュリティ会社です。
会社は創業からまだ10年程で若い会社ですが、クラウド型のEDR(エンドポイントセキュリティ)分野では既に業界トップのリーディングカンパニーとして君臨しています。
世界展開もしており、世界7カ国(アメリカ・ドイツ・イギリス・オーストラリア・イスラエル・ルーマニア)で展開。今後も増えていく予定です。
上場間もない会社ですが、既に従業員は3000人以上売上高も900億以上と既に大企業にもかかわらず、高速で成長しているというのが恐ろしい所です。
コンテンツ
サイバーセキュリティと一言で言っても非常に多岐にわたりますが、
クラウドストライクはエンドポイントセキュリティ・EDR(Endpoint Detection and Response)のサービスを展開しています。
エンドポイントセキュリティというのは”端末の末端”(エンドポイント)をセキュリティするという事です。
クラウドストライクの主力製品のファルコンの特徴は、その端末の保護をクラウド上で行う事そして”クラウド”で行う事ができる製品です。
かみ砕いて説明します。
従来のソフトウェア(ノートン等)はソフトウェアをパソコン(端末)にインストールして使用していましたが、ファルコンのシステムはクラウド(cloud)上にあります。
つまり、ネットワークを常に監視しておいて新しい脅威を感知したら都度駆除していくというシステムです。
仕組みとしては集団防衛システムでセキュリティをしています。
これは、”一度攻撃された情報を攻撃された顧客だけでなく世界中の顧客に即座にシェアして対策を施行する集団防衛的システム”で加入者が増えれば増えるほど、より強固なシステになっていく集団防衛(CROWD=群衆)システムです。
クラウドストライクのクラウドは群衆を意味するCROWDで、社名がセキュリティの方向性を意味していますね。
また、副次的なメリットとしてクラウド上にシステムがあるので従来のセキュリティシステムと異なりアップデートする必要がありません。
常に最新のシステム監視される上、端末の負担が少なくなりますので PC の処理が早くなります。
セキュリティソフトでパソコンが遅くなってしまう現象がなくなるという事です。
さらに、クラウドストライクの製品の凄い所は、その対処スピードです。
現在、ウイルスがハッキング(つまり情報を抜きとったり破壊するの)に必要な時間はおおよそ2時間ほどと言われていますがクラウドストライクは”1分以内にウイルスを検知して10分以内で調査して60分で対処”します。
対処スピードは、この分野では最速です。
最速で処理される上、クラウドストライクのシステムで全てのサイバー攻撃をクラウド上の AI によって学習させ、即座にウイルスパターンをクラウド上で更新し全てのユーザーにシェアします。
攻撃されればされるほど強くなるという、驚くべきPDCAのサイクルスピードを誇ります。
最強のサイバーセキュリティシステムを持つ会社がクラウドストライクです。
強み
一言で言えば、クラウドとサブスク型のネットセキュリティソフト”の大手で爆発的に支持率を上げているという点です。
まず、顧客満足度を測る指標として顧客維持継続率がありますが、過去3年で94%以下になった事は一度もありません。
また、直近では98%の顧客維持率を維持しており顧客の流出が無く満足度が高いことがわかります。
その上、顧客一人当たりの売上率も100%を超えております。
顧客が、さらに追加で課金しているのです。
売上率は、過去最低で114%最高で147%。直近では125% の売上率を誇っております。
現在の顧客数は14000人強です。しかし、この数字は決して高い数字ではありません。
なぜなら、顧客数トップ4社の顧客数は200万件以上もあるからです。
しかし、顧客数が多い会社は20世紀に勢力を伸ばした会社で21世紀型のセキュリティに対策できてない企業がかなり多いです。
クラウドストライクにとっては狩場であり、実際 クラウドストライクの顧客数の増加数は去年に比べ75%も顧客数が増えています。
この200万件のうち5%~10%の顧客をとるだけで今の10倍~20倍の顧客が増える事になります。
コンテンツが強力な会社にとっては成長余地が非常にあるという事です。
収益面でも、サブスク型のコンテンツが売上の90%以上占めており安定性も魅力でしょう。
経営者
CEOのジョージカーツは意外にも公認会計士としてキャリアをスタートさせているのですが、その後ファウンドストーンというセキュリティコンサルティング会社を設立させました。
しかし、2004年にマカフィーに買収をされ、マカフィーの上級副社長兼リスク管理のゼネラルマネージャーとして活躍していました。
現在のライバル企業のマカフィーの最高技術責任者だったのです。
そのマカフィーの最高技術責任者が2011年にクラウドストライクを設立して現在に至ります。
ものすごいチャレンジングな経営者です。
かなり頭が切れる印象で、例えば2020年には「コロナで皆、大変だからサブスク料金を割り引いている」という発言をされており、実際に料金が3割程割引をされていました。
つまり、今後コロナが収まり通常料金に戻しただけで売上が3割アップするという仕掛けです。
5年先を考えれば英断ですが、それを創業から数年の会社が行うという決断力の高さが垣間見えます。
競合
主な競合は下記企業になります。
競合情報
Carbon Black Inc.
McAfee LLC
Symantec Corporation,
Cylance Inc.
SentinelOne Inc.
ほとんどの企業をアウトパフォームすると思われますが、クラウドストライクと同様のサービスを作る会社が出来た場合、クラウドストライクが優位性を発揮できるかどうかはどれだけ顧客数を伸せるかという事が勝負となりそうです。
群集を使うクラウドストライクのシステムは顧客数の多さがそれだけソフトの強さにつながりますので、シェアの伸びが他の追随を許さず、今までどおりと順調に伸びることができれば確固たる立場を形成できます。
顧客数の伸びはクラウドストライクの生命線です。
クラウド型サイバーセキュリティ界のトップ企業=クラウドストライク
今回は、クラウド型サイバーセキュリティ分野のトップ企業で、まだまだ発展途上である
クラウドストライクについて解説致しました。
これからもクラウドストライクの動向に注目です。