会社の経費に計上しようと思って領収書を受け取ったが、「宛名を書き間違えられていた」などといったことはありませんか。
また、逆に、領収書を発行した際に、「宛名を書き間違えてしまっていた」などといったこともあるかもしれません。
このように、領収書の宛名間違いの場合には、どのように対応するのが良いでしょうか。
宛名を訂正したうえで、領収書を再発行してもらうのは可能でしょうか。
また、書き直すのであれば、どのように書き直すのが良いでしょうか。
そこで、ここでは、領収書の宛名間違いの場合には、再発行をしてもらうほうが良いのか、再発行は可能なのか、書き直す場合にはどのようにするのが良いのかについて見ていきたいと思います。
宛名を書き間違えられた領収書は有効なのか?
宛名を書き間違えられた領収書は有効なのでしょうか。
書き間違いのパターン別に見ていきたいと思います。
名前の漢字などの書き間違えの場合
口頭でのやりとりで、聞き間違えてしまうこともあるかもしれません。
口頭だと、「津田」と「須田」、「岩佐」と「湯浅」、「 斎木」と「佐伯」、「加藤」と「佐藤」などといったような聞き間違いがあるかもしれませんよね。
また、「河本」を「川本」のように、漢字を書き間違えられてしまうといったこともあるかもしれません。
また、会社名であれば、株式会社を前に付けるのか、後に付けるのかを間違って書かれるといったようなこともあるかもしれませんよね。
これらのような間違いは、会社や個人事業主として、経費に計上した際に、不正となるかというと、税務署に一枚一枚、領収書をチェックされるわけではないので、特に問題はないのではないかと思います。
というのも、万が一、チェックされたとしても、調査をすれば、書き間違いなのは明らかになるのではないでしょうか。
そもそも、領収書の記載事項として必要なのは、日付、宛名、但し書き、金額、発行者の5つですが、日常的に生じる、少額の取引においては、宛名は空欄でも税務上は問題はないとされています。
そのため、宛名に関しては、多少の間違いであれば、特に問題はないでしょう。
会社宛のものを個人名宛で記載された場合
宛名を会社にしてもらわなければいけないところを、間違えて、個人名を記入してもらってしまったり、個人事業主の方が、お店の名前ではなく、自分の名前を宛名に書いてもらったりした場合はどうでしょうか。
こちらも上記と同様で、だからといって、経費としての使用ではないから、税務上、経費計上できないということにはならないのではないかと思います。
また上記で述べたように、日常的に生じる、少額の取引においては、宛名は空欄でも税務上は問題はないということになります。
宛名間違いは再発行してもらえる?書き直しても良い?
そうは言っても、宛名が違っていると、不安だったり、良い気持ちがしないという方もいらっしゃるかもしれません。
また、領収書を発行する側だった場合に、受け取った側から、宛名を書き直すように言われる可能性もありますよね。
そのような場合には、どう対応するのが良いでしょうか。
領収書の再発行は可能?
宛名を間違えてしまった領収書が手元にあり、それと引き換えに発行するというのであれば、発行側の会社のルールとして、再発行が可能なのかどうかがポイントとなるでしょう。
ただ、普通に考えると、書き間違えてしまっているので、再発行をするべきです。
この時に注意が必要なのは、発行する側は、書き間違えたものを破棄してしまわないことです。
税務調査の際に、通し番号の振られた束の領収書の中で、抜けているものが見つかると、不正を疑われても仕方ないためです。
ですので、書き間違えたものは、「×」印などをつけて、保存しておいた方が良いでしょう。
もちろん、宛名を間違えた場合と違って、紛失の際などの二重発行は、基本的には難しいかと思います。
宛名を訂正しても良い?
宛名を書き間違えてしまった領収書を、二重線を引いて、訂正印を押したうえで、書き直すこと自体は問題ないでしょう。
しかし、宛名の修正ということになるので、税法上の問題ではなく、マナーやモラルの問題にならないでしょうか。
名前を書き間違えてしまったものを、訂正して書き直したものを渡されというのは、渡された方はあまり気分が良いものではないですよね。
発行する側は、出来る限り、書き直して渡した方が良いでしょう。
また、白紙で渡された領収書と同様に、自分で書き直すことも不正行為となりかねないので、注意が必要です。
してはいけない宛名の訂正方法は?
本来は、宛名を書き間違えた場合には、書き直すのが良いでしょう。
しかし、書き間違えた場合に、再発行することが難しい場合には、二重線を引いて訂正印を押して訂正することになります。
そのときに、以下のような修正方法は決して行ってはいけません。
修正ペンや修正テープで訂正する
修正ペンや修正テープを使って、宛名を消したうえで訂正するなどという方法は、印象が悪いだけでなく、税法上も問題があります。
この方法が可能なのであれば、自分で領収書を書き直し放題ということになってしまいます。
サンドペーパーを用いて訂正する
目の細かいサンドペーパーであれば、器用な人は、ボールペンの字をキレイに消すことができます。
しかし、これも、金額などもできてしまうことになるので、バレた際に、不正行為を疑われても仕方ありません。
もちろん、バレるかどうかの問題でもありません。
消せるボールペンで書かれたものを訂正する
もともと、フリクションなどの消せるボールペンで書かれていたものを、消したうえで訂正するというのは、そもそも、最初に消せるボールペンで書かれているということ自体に問題があります。
そのため、これは問題外です。
法に触れるような領収書には注意しましょう!
宛名を書き間違えた領収書について見てきましたが、書き直してもらえる場合には、書き直してもらうことが一番です。
しかし、ささいな間違いの場合には、日常で生じる少額の取り引きでは、領収書は宛名が不要なので、そこまで気にする必要はないかと思います。
むしろ、それを自分で書き直したりしてしまう方が、税法上には問題があります。
領収書やレシートは、日々、目にする当たり前のものではありますが、法的に効力のある書類なので、正しい形式である必要がありますので注意しましょう。